VYMの配当金生活は成功するのか?実際のシミュレーション結果や、VYMに投資をする上でのメリットやデメリットについても解説します!
VYMとは
VYM(正式名称:バンガード米国高配当株式ETF)は、FTSEハイディビデンド・イールド指数という株価指数に連動するインデックス型のETFです。
ETFとは、上場投資信託と呼ばれる投資信託の一種で、証券取引所で取引される投資信託となっています。
ETFの特徴としては、投資信託に比べて手数料が低い傾向にあることや、リアルタイムでの注文が出来るといった点が挙げられます。
インデックス型のETFとは、株価指数の動きに連動した運用成果を目指すETFであることを意味します。
ETFについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
FTSEハイディビデンド・イールド指数とは
FTSEハイディビデンド・イールド指数は、米国株式市場において利回りが高い株式を中心に構成される株価指数です。
この指数の特徴としては、他の株価指数と比較して値動きが景気に左右されずらいことが挙げられます。
NASDAQ100やS&P500の構成銘柄はテクノロジー・情報技術関連の企業が大きな割合を占めるのに対し、FTSEハイディビデンド・イールド指数の構成銘柄は主に金融やヘルスケア、生活必需品部門の企業が中心となっています。
金融・ヘルスケア・必需品は景気に関わらず常に一定の需要があるため、これらの企業の株価は比較的下がりにくいのです。
それに対して、テクノロジー・情報技術関連の銘柄は株価の動きが大きい傾向にあります。
VYMのパラメータ

なお、以下で用いるSPYDのデータはBloomberg(2025年2月5日時点)を参照しています。
価格
それでは最初に、VYMの価格を見ていきます。
VYMの価格は、現時点で133.77米ドル(日本円で※約2万358円)となっています。
このように、現時点でVYMを一口購入するためには最低でも2万円以上が必要となることから、少額投資が難しいETFであることがわかります。
※三井住友銀行のリアルタイム為替レート(2025年2月17日 午後8時35分 現在)を使用しました。
インカムゲイン
次に、インカムゲインです。
インカムゲインとは、ETFを保有している際に株主に定期的に配分される利益のことで、ETFのインカムゲインに当たる利益を分配金といいます。
VYMの分配金利回りは2.88%となっています。VYMが高配当ETFとして考えられることを踏まえると、VYMの分配金利回りはそこまで高い水準にはないと思われます。
ちなみに、分配金利回りが10%を超えるような高いインカムゲインを誇る高配当ETFについては以下の記事で解説しているのでぜひご覧ください!
コスト
続いて、コストです。
ETFを保有する際には、経費と呼ばれる手数料を支払う必要があります。ETFの価格に対する経費の割合を経費率と呼びます。
VYMの経費率は0.06%となっており、コストの低さに定評のあるETFの中でもかなりコストパフォーマンスが優れていると考えられます。
より大きな金額を投資するほど、経費率の高さはより大きな影響を与えます。そのため、VYMのように経費率低いETFに投資をすることでより効率的にリターンを獲得することができるのです。
トータルリターン
最後に、一年間のトータルリターンを見てみます。
トータルリターンとは、分配金などのインカムゲインに売却益といったキャピタルゲインを加えた総合的な利益を指します。
VYMの一年間のトータルリターンは現時点で20.80%となっており、かなり高い水準であるといえます。
金融資産として長期的に考える場合、VYMからは十分な利益が得られると考えることができるでしょう。
VYMの上位構成銘柄
アメリカの大手情報サービス会社であるBloombergによると、2025年2月17日時点でのVYMを構成する上位銘柄は以下の通りとなります。
企業 | 割合 |
ブロードコム | 6.00 |
JPモルガン・チェイス・アンド・カンパニー | 3.84 |
エクソンモービル | 2.75 |
プロクター・アンド・ギャンブル | 2.25 |
ウォルマート | 2.23 |
ホーム・デポ | 2.20 |
ジョンソン・エンド・ジョンソン | 1.99 |
アッヴィ | 1.79 |
バンク・オブ・アメリカ | 1.67 |
メルク | 1.44 |
上記した通り、VYMの上位構成銘柄には金融やヘルスケア、生活必需品といったセクターの企業の銘柄が大きな割合を占めています。
VYMの配当金生活シミュレーション
以下で、現時点でのVYMの分配金利回り(2.88%)をもとにした配当金生活のシミュレーションを行います。なお、以下のシミュレーションでは税金を考慮しません。
投資金額 | 年間の配当金金額 |
100万円 | 2万8,800円 |
500万円 | 14万4,000円 |
1,000万円 | 28万8,000円 |
1,500万円 | 43万2,000円 |
2,000万円 | 57万6,000円 |
2,500万円 | 72万円 |
3,000万円 | 86万4,000円 |
3,500万円 | 100万8,000円 |
4,000万円 | 115万2,000円 |
5,000万円 | 144万円 |
6,000万円 | 172万8,000円 |
7,000万円 | 201万6,000円 |
8,000万円 | 230万4,000円 |
9,000万円 | 259万2,000円 |
1億円 | 288万円 |
VYMの配当金生活は成功するのか?
結論としては、VYMへの投資のみで配当金生活を行うことは厳しいと考えられます。
その理由としては、やはり分配金利回りの低さが挙げられます。仮に1億円の運用資金があったとしても、1年間に得られる収入は税引き前で288万円となります。
そのため、VYMのみへの投資で配当金生活を行うことは難しいでしょう。分配金利回りが高いETFについては以下で紹介しているので、ぜひ確認してみてください!
VYMのデメリット
ここからは、VYMに投資をする上でのデメリットを紹介していきます。

分配金利回りが低い
VYMのデメリットとしては、分配金利回りが低いことが挙げられます。
FTSEハイディビデンド・イールド指数は米国株式市場において利回りが高い株式を中心に構成されますが、それでも他の高分配ETFと比較するとVYMの分配金利回りは低いです。
以下で、他の米国株ETFの分配金利回りの例を紹介しておきます(2025年2月19日時点)(Bloombergで算出された数値を使用しています)。
ETF | 分配金利回り |
QYLD | 11.99% |
PFF | 6.46% |
SPYD | 4.96% |
BND | 3.88% |
JEPI | 6.61% |
HDV | 3.84% |
VTI | 1.25% |
VIG | 1.72% |
VYMの分配金利回りは2.88%であるため、VYMの分配金利回りは上記のETFと比較すると低いことが分かります。特に、QYLDとは分配金利回りに約9%もの差があります。
高いインカムゲインを求めるのであれば、VYMは最適なETFとは言えないのかもしれません。
上記の高分配ETFについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
VYMのメリット
続いて、VYMに投資をする上でのメリットを紹介します。

経費率が低い
ETFを運用する場合、保有期間中に経費(手数料)を支払う必要があります。
Bloombergによると、2024年2月19日時点でのVYMの経費率は価格の0.06%となっており、他の高分配ETFに比べてかなり低い水準となっています。
以下で、他の米国株ETFの経費率の例を紹介しておきます(2025年2月19日時点)(Bloombergで算出された数値を使用しています)。
ETF | 経費率 |
QYLD | 0.61% |
PFF | 0.46% |
SPYD | 0.07% |
BND | 0.03% |
JEPI | 0.35% |
HDV | 0.08% |
VTI | 0.03% |
VIG | 0.06% |
経費は、運用期間が長期になるほどリターンに大きな影響を与えるので、経費率の低さは投資において重要なポイントとなります。
分散投資ができる
分散投資とは、1つの資産だけに投資をするのではなく、様々な銘柄や業種、国の資産に分けて投資をすることを指します。
投資資金のすべてを1つの銘柄に投資した場合、もしその銘柄の価格が大幅に下落してしまうと大きな損失となってしまいます。
しかし、分散投資をすることでたとえ1つの銘柄の価格が急落しても、投資全体での損失を少なく抑えることが出来るのです。
そのため、投資をする上で分散投資を心がけることは非常に重要なこととなります。
VYMは約400銘柄に少額づつ投資するため、リスク分散効果が高いETFであるでしょう。
大きなキャピタルゲインが期待できる
Bloombergによると、VYMの直近1年間のトータルリターン(分配金やキャピタルゲインを合わせた利益)は20.80%となっています。
以下で、2025年2月19日時点での他の米国株ETFのトータルリターンの例を紹介します(Bloomberg参照)。
ETF | 1年間のトータルリターン |
QQQ | 24.96% |
QYLD | 13.43% |
PFF | 6.46% |
SPYD | 21.41% |
JEPI | 13.36% |
HDV | 17.41% |
VTI | 23.41% |
VIG | 18.83% |
このように、VYMは分配金利回りが低いのに対して、1年間のトータルリターンは高くなっています。
これはつまり、短期間で見るとそれだけ高いキャピタルゲインが期待できるということです。
トータルリターンがVYMよりもさらに高いQQQとVTIについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
VYMは安定した運用成果が期待できるETF

結論として、VYMはおすすめしないのでしょうか。
以下で、VYMに向いている人と向いていない人の特徴を挙げました。
VYMに向いている人 | ・安定したキャピタルゲインが欲しい人 ・経費率を抑えたい人 ・分散投資がしたい人 |
VYMに向いていない人 | ・高い分配金(インカムゲイン)が欲しい人 |
VYMを購入するのであれば、VYMの特徴を理解して、自分の目標に合った資産なのかを考えることが大切になるでしょう。
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